遺品整理業者に依頼した場合のメリットやデメリットを分かりやすく解説
「遺品整理」を突然しなければいけなくなった。
でも「具体的に何をしたらよいのか」がわからない。
今、数多くの遺品を目の前に途方にくれているのではないでしょうか?
「遺品整理業者」「遺品整理会社」とよばれる業者に依頼しようと考えているものの、どのくらいのメリットがあるのか?反対にどんなデメリットがあるのか気になるところかと思います。
遺品整理業者に依頼せず、自分で整理することも出来るので、どのような違いがあるのかも知りたいところです。
本記事では、業者に依頼した場合のメリットやデメリットを分かりやすく解説していきます。
1.遺品整理を業者に依頼した場合のメリット
遺品整理業者は、
- 時間の都合がつかない
- 距離があまりにも遠いところである
- 段取りが分からないので、とにかく手間と時間がかかる
- 廃棄処分したりリサイクルする場合はどこに連絡したら良いか分からない
こういったことを引き受けてくれるのです。
それでは詳しくみていきましょう。
(1)遠方からでも遺品整理が可能
故人と同居していたか、故人が遠方で一人で住んでいたかによって遺品整理にかかる手間や労力は大きく変わります。
同居している場合は故人の使用していた部屋の整理で済みますが、遠方で一人で住んでいた場合などはそういうわけにはいきません。
何がどこにあるのか、必要なものはどれなのか、そういったことを判別していくだけでもかなりの時間がかかります。
また、遺品整理を行う家が遠方にある場合は行き帰りの往復だけでも時間と交通費がかかります。
そして実際に自分たちで遺品整理を行うと何日もかかるということもあるのです。
遺品整理であった例でいうと、自分たちで遺品整理を始めてみたが納戸の奥から数十年前の新品のままの寝具が出てきたり、10年以上前に賞味期限のきれた食べ物が出てくるということが頻繁にあるのです。
そういったことを解消できるのが、遠方から遺品整理業者に依頼するという方法です。
最近はインターネット、携帯電話、メールなどの発達により、遠方から依頼することができるのです。
遺品整理をしたい家の場所や間取り、整理してほしいもの、大事に取っておいてほしいもの、処分してほしいものなどを依頼することで、実際に何度も足を運ばなくても遺品整理業者に任せることができるのです。
もちろん、理想を言えば見積もりや下見の段階で現地に一緒に行くことが理想です。
しかしそれも難しい場合は情報や指示を細かく行うことで整理当日もその場に立ち会わなくても整理を行ってもらえる場合もあります。
その際に起こるトラブルを防ぐために、電話やメールでのやりとりをしっかりと具体的に行い、あやふやなまま作業に入ってしまうような業者は避けましょう。
(2)手間がかからず遺品整理がスムーズに進む
単純に「遺品整理」と言ってもしなくてはいけないことは様々です。
端的に述べていくと「分別・清掃・査定・搬出・処分」ということになります。
簡単に思えてしまうかもしれませんが、行う人間が持っている資格や技術によってはそれぞれの専門業者に個別に依頼しなくてはいけなくなります。
しかし、それらを取得している遺品整理業者であれば、そういったことをすべて請け負ってもらえるのです。
例えば遺品整理をして出たゴミを処分するだけでも「一般廃棄物を処理する許可」が必要になります。
この許可を持っていない業者はゴミを運搬することはできないのです。
具体的に作業を見ていきましょう。
①選別と搬出作業
部屋に入れる状態になったら搬出する動線を考えながら、かさばるものや軽いものは大きな段ボールへ、小物や重いものは小さな段ボールへ箱詰めしていきます。
②リサイクル業者に来てもらう
部屋の片づけがある程度終了したらリサイクル業者に来てもらいます。
処分するもののうち、まだ使用できるものを買い上げてもらうためです。
その場で査定を行ってもらったり、量によっては一度持ち帰ってもらったりします。
リサイクル業者の次は処分品を運搬する業者に来てもらいます。
③廃棄するゴミの処理
一般家庭から出るゴミ運搬の許可を得ている業者は自治体ごとに決まっています。
また後にも述べますが、処分対象となったもののうち「このまま捨てるのは忍びない」という仏壇・神棚などのものは供養する手はずを整え、部屋の原状復帰を希望された場合はハウスクリーニングを手配する、あるいはリフォーム業者に引き継ぐなど依頼者の要望によって様々な業者と連携することになります。
④遺品整理には時間制限がある
部屋が賃貸の場合などはできる限り早くしなければいけませんし、持ち家でもずっとそのままにしておけば遺産の処理ができなかったり、新たな税金が発生したりしてきます。
こういった作業を自分でする場合はかなりの段取りと労力が必要になることはわかっていただけると思います。
これを遺品整理業者に依頼すると業者自身が資格や技術を持っていたり、それぞれの資格保有業者に手配してくれるのです。
時間や労力といった点で考えても遺品整理業者に依頼したほうが圧倒的にスムーズに遺品整理は進むでしょう。
(3)遺品の供養ができる
処分する品の中でもひときわ神経を使い、手間がかかるものがあります。
それが仏壇や神棚といったものです。
こういったものは処分すると決めた場合でも粗大ごみと同じには扱えません。
一般的には「魂抜きをしてからでなければ仏壇は処分してはいけない」と言われていますが、扱い方には諸説あり、地域によっても宗派によっても違うのです。
特に、この種の話には口を挟みたがる親族や近隣の住民が多いのもやっかいです。
言うことが異なる者同士で反目しあったりすると片づけは一向に進みません。
①仏壇・神棚の廃棄と供養
一番良いのは供養の方法について仏壇を購入した仏具店や葬儀業者、あるいは寺院に相談することです。
もしくは費用はかかりますが供養して回収までしてくれる一括請負の専門業者もあります。
また神棚も、神社でお焚き上げしてもらわなければならないという説もあれば、護符だけをお焚き上げしてもらえば神棚は廃棄処分しても良いという説もあります。
これも神社に相談するのですが、お焚き上げ神事は執り行わないという神社もあります。
その場合はやはり、すべてを請け負ってくれる専門業者に依頼する必要がでてきます。
「お焚き上げ」とは神社の庭で行うかがり火を焚くことと仏教の護摩を焚くことが結びつき、魂を天に送り出す行事となったのが由来とされています。
神事的には火の神の力で天界へ還すという意味があり、仏事的には思いが込められたもの、魂が宿るとされているものにこれまでの礼を尽くし、浄化によって天界へ還す意味があります。
「お焚き上げ」は神仏関連のもののみならず、丹念に使い込んだものにたいして感謝を込めて供養するという意味もある日本の伝統文化です。
②写真・アルバム・思い出の書籍類の廃棄と供養
次に供養で悩むのは、写真・アルバム・思い出の書籍類です。
通信簿や卒業証書・賞状などもそうですし、故人が使用していた枕や毛布、寝間着なども含みます。
こういったものは量が多く、重いために処分するには力と手間がかかります。
書籍類などは特別に希少価値がある一部の書籍以外は値段のつくものなどほとんどなく、売却代金よりも手間賃がかかるほうが多いのが実状です。
かといって思い出が絡んでいるものですので一般ごみとして処分することも気にかかります。
これも遺品整理業者に依頼するときに一緒に頼んでしまって専門業者に任せてしまうのが良いでしょう。
経験を積んでいる遺品整理業者であれば必ず供養のルートを持っています。
古くから物供養を行っている寺院や神社に持ち込み、ある程度の量がまとまったら式典を行ってお焚き上げに至ります。
(4)骨董品・貴重品を高価買取してくれる
遺品整理を行っていて、もう一つ大きな関連事があります。
高価な遺品の買い取りです。
ただしこれは誰にでもできるものではありません。
中古品を生業として売買・交換する業者や個人を「古物商」といいます。
廃棄物として引き取るのではなく、リサイクルや転売目的で買い取りを行うのであれば、古物商許可が必要です。
許可を受け取ると許可番号が明記された手帳型の許可証が交付されます。
古物商は各々がその番号を店頭の許可票に掲げて営業を行っています。
この許可を受けずに買い取りをしてしまうことはもちろん違法ですが、悪意がある、ないにかかわらずトラブルが多いのもこの買取業務です。
またトラブルの部分は後で述べることにして、まずはメリットの部分を述べていきます。
①遺品整理の見積額が安くなった例
遺品整理の見積額が30万円で依頼し、遺品の中から出てきたバッグが買取額で12万円となったケースがありました。
最終的に差し引いて遺品整理は18万円で依頼できた例があります。
素人では見分けがつかず、そのまま捨ててしまっていた可能性のあるバッグもこのような形で安くなる場合があります。
②骨董品の価値は素人では分かりにくい
骨董品や絵画などは素人が見ただけでは価値がわからないということがあります。
他にも男性であれば釣り竿やゴルフクラブなどをまとめて査定してもらったら数十万円になったということもあります。
また、古くて珍しい切手や記念硬貨にも同じことが言えますし、ライターや懐かしいテレホンカードなども見る人が見れば実は宝の山だったりします。
③健康器具は高値で買い取ってくれることも
女性が残されているものの中で最近多くなっているのは健康器具の類です。
ぶら下がり健康器やエアロバイク、マッサージ器などがまったくの新品のまま置いてあったりするのです。
こういったものは新品同様の値段で取引してもらえることもあります。
④仏壇などは海外に輸出されることも
先の項目で紹介した供養品の中でも最近は「使っていただく供養」として仏壇などは海外に輸出される場合があります。
ベトナム・タイ・カンボジア・マレーシアなどでは仏壇は日本の高級民芸品ということで高く売買され、大事に使ってもらえるようです。
仏壇は処分するとなると数万円を支払わなければならないものですが、海外へ民芸品として輸出されれば数万円で売れたりします。
またあまり価値のない遺品はそのまますべて廃棄されるわけではありません。
リサイクルされていくものもあります。
むしろここ最近ではリサイクルの方が主流となってきています。
特に食器類や衣料品関係は以前はすべてが廃棄の対象でした。
しかし現在は食器専門のリサイクルショップや古着店などがまとめて買い取ってくれるケースが増えてきているのです。
もちろんかなりの安値ではありますが、ある程度の量があるならその代金は遺品整理業者に支払う代金と相殺してもらえます。
このように引き取りに関しても変化してきているのです。
2.遺品整理を業者に依頼した場合のデメリット
基本的には今まで述べてきたように遺品整理を行う場合には遺品整理業者に依頼した方が圧倒的にメリットがあります。
しかし、もちろんメリットがあればデメリットもあります。
ここではそういったデメリットの部分を紹介していきます。
(1)費用がかかる
まず当然のことですが、業者に依頼するので費用がかかることになります。
料金は作業量・荷物の多さ・作業に当たるスタッフの人数・家の広さなどによって異なってきます。
だいたいの目安は家や部屋の広さで行われるため、業者も一番先に聞いてくるところにもなります。
たいていの業者は家の広さやおおまかな荷物の量などを確認すると見積もりをとります。
実際に現地を見て、道路の幅やエレベーターの有無なども確認して見積もり計算をしていきます。
ただ多くの場合はそんなに頻繁に遺品整理業者を利用したことはないでしょう。
一番の不安は相場がわからないため「どれくらいの金額が普通」なのかがわからないことでしょう。
①不安な場合はいくつかの業者に見積もりを依頼する
いくつかの業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
業者によって金額が変わってくるため、ある程度の指針になります。
ただしそこで出てきた金額がすべてではありません。
見積もり後にも追加料金が発生することがあるのです。
これは遺品整理の際に不要と判断されたゴミの処分代金であったり、ピアノなどの大型楽器の運搬、特殊作業などです。
特に孤独死で発見に時間がかかった場合などは金額が跳ね上がることになります。
特殊清掃は程度によっても金額が変わりますが、まずは特殊清掃を行ってから臭いを除去してからの作業になることになります。
体液による浸食が大きいほど料金は高くなります。
木造住宅の1階で発見が遅れた場合、基礎の部分にまで臭いが染みつき、コンクリートを破壊するような大工事になることもあります。
そうなると百万単位の金額が必要になってきます。
また清掃そのものの出費に加えて大家さんや近隣の方々への賠償が発生します。
敷金が返ってこないのは当然として、次に人が入るまでの家賃保証や他の住人が臭いなどを理由に転居してしまっていたらその分の賠償金も請求されるかもしれません。
②費用が分かりつらい業者がいる
見積もり時に「追加オプション料金〇〇円~」という書き方であったり、何に対してどれだけの金額がかかるかが曖昧に書かれているものは注意が必要です。
その部分が曖昧なまま依頼して作業をしてしまったとします。
後で見積もり時の基本料金に様々なオプション料金が追加され、とんでもない金額になっているのです。
しかしすでに作業が終わってしまっているので、一切払わないというわけにもいきません。こうしてトラブルが発生するのです。
そういったことを避けるためにも、見積もり時に不明なところがある場合は細かく説明してもらうようにしましょう。
このように遺品整理業者に依頼すると「費用がかかる」ということをデメリットとしてあげましたが、忘れてはいけないことは「自分で整理を行っても費用はかかる」ということです。
遺品整理をする現地までの交通費、各種処分品の引き取り業者への連絡と支払い、手伝ってもらった親族や友人へのお礼など。
そう考えるとメリットとのバランスということになるでしょう。
(2)業者によって遺品が雑に扱われることも
「お金のトラブル」に続いて2番目に多いトラブルがこの「モノのトラブル」です。
特に悪質な業者になればなるほど顕著に表れてきます。
「遺品」は遺族にとっては故人が残した思い出のつまった品々です。
しかし他人にとってはただの「モノ」です。
だからプロ意識のない業者ほど遺品を雑に扱うのです。
本当にプロ意識の高い業者であれば遺族や個人に対して思いやりと敬意をもって作業をします。
それは例えば仏壇があれば手を合わせていたり、遺品を移動させるときの置き方などといった細かい部分にでてくるのです。
こういったことを防ぐ手段としては「信頼できる業者に依頼する」「見積もりや作業当日にできるだけ立ち会う」という2点があります。
信頼できるしっかりとした業者であれば遺品を雑に扱うということはまずしないでしょう。
しかしやはりお勧めしたいのは「立ち会う」ということです。
遺族がその場にいるのに遺品を雑に扱う業者などまずいません。
それだけではなく、タンスの中などから現金が出てきた、扱いに悩む品が出てきた、そういった突発的なことに対しても遺族がその場にいれば対応しやすいのです。
もちろん遠方なので立ち会うことは難しいといったこともあるかもしれません。
それでもできれば立ち会うことの重要性を優先していただきたいと思います。
3.業者選びが大切
業者によってメリット・デメリットは必ず存在します。
こちらの要望に応えてくれる、礼儀やマナーが素晴らしい、代金が安い、日程を合わせてくれるなど色々と選定基準はあるでしょう。
しかし失敗しない業者選びと言っても判断できないとなるかもしれません。
ここでは簡単にチェックできる良い業者の見分け方をあげていきます。
- ホームページの内容はわかりやすいか。
- 電話対応が丁寧であったか。
- 遺族への思いやりを言葉遣いから感じ取ることができるか。
- 迅速に対応してくれるか。
- 見積もりの訪問時など身だしなみはしっかりとしていたか。
- 会社の制服・作業服があるか。
- 見積書や名刺に許可番号・資格番号などが明記されているか。
- 見積書では料金項目が明確で詳細に記されているか。
- 会社名義の銀行口座を保有しているか。
- 質問などを通じてこちらの不安を解消してくれるか。
以上の10項目でチェックをつけていけば整理しやすいと思います。
友人や身内から業者を紹介された場合などは、せっかく紹介してもらったからとよく調べないまま依頼してしまって後悔するということもあります。
大事な遺品を扱うということ、かなりの金額がかかるということも考えて選んでいきましょう。
まとめ
結婚式などのおめでたい行事と違って、人が亡くなるということは突然に起こりがちです。
そして時間などの色々な制限があるなかで行わなければいけない遺品整理という作業。
整理しなければいけない実家はかなり遠方にあるがどうやって整理をすればよいのか、そもそも自分で行うことはできないのか、遺品整理業者に依頼したらどのようなメリットがあるのかわからない、大きな仏壇があるけどどうしようと不安に思うことはもちろんあると思います。
遺族にとっても個人にとっても大事な遺品を扱うので、やはり信頼できる遺品整理業者に依頼したいものです。
非常に残念なことですが、業者の中には法外な料金を後で請求してきたり、遺品をただの不用品と決めつけて雑に扱ったりする業者もいるのが現実です。
数年前には大量の不法投棄が行われ、その捨てられたものを調べていくと悪質な遺品整理業者が捨てていた遺品の数々であったことがわかったという事件もありました。
故人の思い出がつまった品々がこのように扱われるのは非常に残念なことです。
また高価な遺品などもほとんど価値がないように遺族に説明することで不当に安い値段で買い取りが行っていたという事件もありました。
そうならないためにも「良い遺品整理業者」を見つけることが重要です。
この記事で述べてきたことが「良い遺品整理業者」を見つけるお手伝いになれば幸いです。
公開日: